腱板断裂

腱板断裂とは? 

肩の筋肉は2層構造となっており、『腱板』とは肩関節の深部に付着しているインナーマッスルです。棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つの筋肉を総称して『腱板』と言います。その腱板が何かしらの理由で損傷・断裂した状態を腱板断裂と言います。(図1)
 腱板断裂の原因としては外傷性の断裂と変性による断裂の2つに分類されます。外傷性の断裂は転倒や交通事故などによる打撲によって生じるものです。
変性による断裂は腱板の老化によって生じるもので、40歳ごろから腱の変性が始まると言われています。日常生活やスポーツ動作で腱板へのストレスが蓄積されて断裂が生じます。

 
 
                                              

肩関節周囲炎の診断

問診、画像検査、可動域測定などの検査を行い、診断をします。画像検査ではX線(レントゲン)撮影を行いますが、異常が見られないのが特徴です。また患者様の経過に応じて軟部組織の状態を精査する為に関節像影検査、MRIを行う場合があります。 

腱板断裂の症状 

腱板断裂の診断は診察・画像検査を総合的に加味して行われます。
 診察では問診・可動域検査・筋力検査を行います。問診では疼痛部位や痛みの経過、転倒などの外傷の有無、痛みが出る動作などを聴取します。可動域検査では五十肩と比較して、比較的可動域が保たれている事が多いです。筋力検査では徒手抵抗に対して力が入るか、痛みが誘発されないか検査します。(図2
 画像検査には『レントゲン』『MRI』があります。レントゲンでは筋肉を見ることはできませんが、骨の変形や肩峰と上腕骨の隙間などを評価します。(図3)レントゲン上で腱板断裂を疑われた時にMRI検査を行います。MRI検査では腱板断裂の大きさ、腱板の編成の程度、炎症の有無などを評価します。(図4
 

 

 


腱板断裂の症状
 ・夜間時の痛み
  就寝時に痛みが出て、目が覚めてしまいます。
 ・運動時の痛み
  肩を動かした時に痛みが生じます。
 ・脱力
  腕に力が入りにくくなります。肩を挙上して 90-120度付近の痛みが特徴的です。

腱板断裂の治療方針 保存療法

腱板は血液供給が乏しく自然治癒しにくいと言われています。しかし保存療法を 3-6ヶ月行うと約 70%の人に症状の改善が見られます。保存療法には大きく注射・内服による疼痛のコントロールと、理学療法による機能改善があります。
・注射、内服
 夜間時痛の原因には腱板の他に『肩峰下滑液包』があり、腱板と肩峰という骨の間でクッションの役割をしています。そこに対して注射を行い痛みを和らげます。(図 5.6
・理学療法
 断裂した腱板以外の残存している腱板の訓練や、肩甲骨や背柱の動きをよくする事で腱板へのストレスを軽減させ症状を軽減させます。また、痛みに応じて日常生活指導を行います。

腱板断裂の治療方針 手術療法

 保存療法で改善が見られない場合は手術を勧める事があります。
手術には『関節鏡視下手術』と『直視下手術』の 2つの方法があります。手術方法は断裂した腱板の状態を考慮して手術方法が選択されます。関節鏡下手術は低侵襲で、術後の痛みが少ないのが特徴で現在主流となっています。(図 7.8)断裂が大きいと直視下手術を選択する場合もあります。
 手術後は約 3-4週間装具で固定します。(図 9)手術後早期から肩関節が硬くなりすぎないように痛みに応じて可動域訓練を行います。他動運動(人に動かしてもらう)、自動介助運動(人や道具に補助してもらいながら自分でも少しずつ動かす)、自動運動(自分の力で動かす)を段階的に行なっていきます。
 一般的な術後の経過としては術後約 1-2ヶ月で夜間時痛が軽減、術後約 3ヶ月で軽作業ができる、6ヶ月以降で重量物の挙上やスポーツ動作の獲得をできるようにリハビリを進めていきます。